チベット旅行記【河口慧海】あらすじと感想<インド・ザンスカール・レー・チベット・ブータンへ行く人は必読>TRAVEL for India, Zanskar, Leh, Bhutan and tibbet

ノンフィクション
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著者:河口慧海

仏教の原典を求めたいという求道者の一心から、厳重な鎖国をしくチベットに、あらゆる困難にうちかって単身入国を果たした河口慧海師の旅行記。抜群の面白さをもっているだけでなく、チベットの風俗・習慣等についての的確な記述は、本書をチベット研究のための第一級の基本的文献としている。この第一巻では、チベット行を決心して海路カルカッタへ着き、万全の準備の後、ヒマラヤに入り、チベット国境を越えるまでが述べられる。

アマゾン説明より

みなさんは、「チベット」と聞いて何を思い浮かべますか?

ダライ・ラマ法王でしょうか。もしくは、映画「セブン・イヤーズ・イン・チベット」でしょうか。

バックパッカーの私に
まわりが一番よくきく質問は

友達
友達

どの国が一番良かった?

というものです。
この質問に答えるのは、ちょっとむずかしいですね。
どの旅も、いいことも、そうでないこともありますし
「食べ物」はこの国。「景色」はこの国。など、どの角度で見るかにもよります。

ただ、質問した人はそんな答えは要らないのです。
ズバリどこの国なのよ?!ということが知りたいんですね。
で、私の答えは

PHOTOVSKY
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ブータン国

人生で初めての「高山病」にかかり、病院まで行き
食べ物が辛くて固くて、全く口に合わず。
さらに、この国を観光するには、特殊な事情(必ずガイド付きツアーに参加。入国時に払わなければならないお金が高い。)があって、出費がかさむ。

などなど、本当に振り返ると、辛い旅でもありました。(特に「高山病」が辛かった)
それでも、良かったと思えるのは
素敵な「出会い」がたくさんあったからです。
ブータン国の人の優しさ、素朴さ。出会ったバックパッカーとの交流。
どこか懐かしいブータンの美しい山々の景色。

私がその後バックパッカーを続けているのは
この時の感動が強かったからだと思います。
「旅は面白い」と刻まされたブータン旅行でした。

そんな中で、とても気になったのは、この国の人たちのほとんどは
仏教徒で、毎日の生活に「仏教」の教えが深く入り込んでいることです。

私は、恐らく一般的な日本人と同じで
深い宗教心もなく、特定の宗教も持っていないので
そんなブータンの人たちの生活がとても新鮮であり不思議でもありました。

彼らが信仰しているのがチベット仏教です。
ブータンにいる時に、ガイドさんに、何度も仏教感やチベット仏教について
質問をしたのですが、どうも、「不思議」な感覚が残り
この仏教について調べてみたくなったのです。

そこで、帰国してから読んだのがこの本。
今も、そして昔も「チベット」という地域は閉ざされた場所でした。
現代について言えば、中国が実効支配しており、
私も行きたくて、よくよく調べたり、中国人の知り合いに聞いたりしたのですが
とにかく、1日中見張りがついていたり、ブータンよりも更に標高が高く「高山病」の危険が増していたり。グループツアーでなければ受け入れていなかったり、そのツアー代金がものすごく高かったり。。。で、そうそう簡単に旅行できる場所ではありません。

この河口慧海(かわぐちえかい)という僧侶は、現在よりも更に厳しい状況の中
いわゆる密入国のような形で、チベットに入国したのです。
その頃のチベット仏教の様子や、チベット国内の生活をその目で見てきた僧侶が書いたこのチベット旅行記は、とても貴重な本なのです。

内容は、壮絶です。
雪で失明しかけたり、現代とは比べ物にならない装備で
厳冬の山を彷徨って、命がけで入国しています。

よく、生きて帰れたな。。。
どうしてそこまでして。。。

と思うのですが、河口慧海僧侶の筆運びが、そこまで重くないので
なんだか、物語のようにして読むことができます。

私は、後に、チベットではなく、「リトルチベット」と呼ばれる地、ザンスカールへ行ったのですが
その時、寒さのあまり、そして、食べ物も、物資もほとんどない中で
ツァンパと呼ばれる団子のようなものに、バターをつけて食べるとき
その油がもったいなくて、手についたバターを思わず
「もったいない」
と手にすりこんでいたのです。

そのとき、フと河口慧海のことを思い出しました。
そういえば、チベット旅行記にも、同じようなことが書かれてあったな。と。
それを読んだときは、「汚い」と思っていたのですが
実際、自分も同じ行動をとっさにとっていたのです。
「あぁ、今ならわかるよ慧海上人。。。」と私は心の中でつぶやきました。

旅の面白さってそういうところにもありますよね。
いくら写真で見ても、本で読んでも
実際にその場にいて、同じ空気を吸わないことには
わからないことを旅で痛感するのです。

さて、話はそれましたが
密入国して、その国に住んで、ヒマラヤ山脈を超えていった
ものすごーーーいことをしている慧海上人が
本人は、ひょうひょうと、軽いタッチでまるで、他人事みたいに
筆を進めているのが、また面白いこの本を、

旅好きに。
チベット仏教探求者に。
物語が好きな人に。
そして、毎日がつまらないと感じているあなたに。

全力でおすすめしますよ!

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